異染性白質ジストロフィーについて

「異染性白質ジストロフィー」

(略称:MLD)は、細胞内小器官であるライソゾーム内に蓄積される老廃物「スルファチド」を分解する酵素「アリルスルファターゼA」が遺伝的欠損(劣性遺伝)により合成されないため、ライソゾームで分解されずに蓄積されたスルファチドにより神経細胞が破壊されていく病気です。

 

ライソゾームは細胞内で生まれた脂質など老廃物を分解するゴミ分解工場です。通常、脂質などのゴミはライソゾーム内で作られた酵素の働きで分解され、細胞の外に排出されます。

ライソゾームではスルファチドという脂質も分解されます。

この脂質は「アリルスルファターゼA」(略称:ASA)という酵素を使わないと分解することができません。

異染性白質ジストロフィーの患者は、ASAを作ったり活性化させる遺伝子が壊れているため、ゴミであるスルファチドが腎臓、脾臓、そして脳など体内のあちこちに溜まっていきます。

 

体を動かすための神経細胞がたくさんある脳白質に溜まったスルファチドは、神経の電気信号をすばやく伝える軸索の周りを覆っている「ミエリン鞘」を徐々に壊していきます。MLDは知能や運動機能を司る中枢神経を石灰化して壊し、視覚・聴覚も短期間で奪っていく恐ろしい病気なのです。

 

MLDを含む「ライソゾーム病」及び「白質変性症」に関連する詳しい情報は、「ロイコジストロフィー・ネットワーク」を参照ください。